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汗疱(かんぽう)

汗疱(かんぽう)とは

手のひらや足の裏に小さな水疱(みずぶくれ)できる疾患です。主に汗腺の機能不全や汗の分泌異常が原因とされており、季節の変わり目やストレス、湿気の多い環境で悪化することがあります。症状としては、かゆみや痛みを伴うことが多く、水疱が破れると二次感染のリスクもあります。

汗疱の原因

  • 汗腺の機能不全: 汗を適切に排出できないことが原因で、汗が皮膚内に溜まり、水疱が形成されます。
  • アレルギー反応: 特定の物質に対するアレルギー反応として発症することがあります。例えば、金属アレルギー(特にニッケル、コバルト)が一因となることがあります。
  • 湿度と温度: 湿度の高い環境や急激な温度変化も発症の要因です。
  • 皮膚のバリア機能の低下:皮膚のバリア機能が低下することで、外部からの刺激に対する感受性が高まり、汗疱が発生しやすくなります。

汗疱に似た別の疾患

白癬(水虫)と汗疱の違い

水虫は白癬菌という真菌(カビ)が皮膚に侵入して発症する感染症で、特に足などに皮膚の剥がれ、水泡の症状を作る疾患です。一見、汗疱の症状に似ている場合があり、皮膚科での顕微鏡検査で診断がつきます。汗疱なのに、自己判断で市販の水虫薬を外用すると、必ず悪化しますので注意が必要です。

掌蹠膿疱症と汗疱の違い

掌蹠膿疱症は手のひら、足の裏に小さな水疱のような膿が多発する疾患です。病気の初期段階では膿は無く、水疱で始まることが多いため汗疱の症状に似ています。

アトピー性皮膚炎と汗疱の違い

特に成人のアトピー性皮膚炎の場合は手に症状が出やすく、水疱を伴うこともありますので症状が似ています。水疱以外にも紅斑(赤み)や亀裂(ひび割れ)を伴ったり、手以外にも湿疹症状が出る事が違いです。

汗疱でやってはいけないこと

  • 水疱を破る:水疱を自分で破ってしまうと、感染のリスクが高まります。水疱が破れることで、皮膚のバリアが崩れ、細菌や他の病原体が侵入しやすくなります。
  • 掻く:痒みが強い場合でも、掻くことは避けるべきです。掻くことで皮膚が傷つき、さらに症状が悪化したり、二次感染が起こりやすくなります。
  • 湿った環境に長時間いる:湿気の多い環境は汗疱を悪化させる原因となります。足の汗疱の場合、通気性の悪い靴や靴下を長時間履くことは避けましょう。手の場合、長時間水仕事をする際は防水手袋を使用し、その後はしっかりと乾燥させることが重要です。
  • 自己判断での治療:市販の薬や自己流の治療法で症状を悪化させることがあります。
  • 刺激の強い製品の使用:刺激の強い洗剤、アルコール含有のスキンケア製品などは避けるべきです。これらは皮膚のバリア機能をさらに弱め、症状を悪化させる可能性があります。

汗疱の診断・検査方法

汗疱の診断は皮疹の部位と形態により診断されます。汗疱に似ている他の疾患、例えば白癬(水虫)を除外する目的で顕微鏡検査をする場合があります。

汗疱の治療方法

  • 保湿: 保湿クリームを使用して皮膚の乾燥を防ぎます。
  • 抗ヒスタミン剤: かゆみを抑えるために抗ヒスタミン剤内服を使用します。
  • ステロイド剤: 炎症を抑えるためにステロイド外用薬を使用します。
  • 冷却: 患部を冷やすことでかゆみや炎症を軽減します。
  • 金属除去:金属アレルギーの関与が疑われる場合は試みてもよい方法です。アクセサリーや調理器具、歯科用金属など接触する金属製品を避ける事。またニッケルやコバルトを多く含む食品を避けることが推奨されます。例えば、チョコレート、ナッツ、豆類、貝類などが挙げられます。

よくある質問(Q&A)

汗疱は市販薬(フルコート、リンデロン、オロナイン、等)で治りますか?

ステロイドを含有している市販薬(フルコート、リンデロンなど)は症状を緩和させる可能性はありますが、手のひらや足の裏などの角質の厚い部位は外用の浸透が悪いため市販薬の薬効では弱いと考えられます。また、オロナインをはじめとする市販薬に添加されている成分でかぶれを起こし皮疹と痒みを悪化させる可能性もあります。

汗疱は他の人にうつすことはありますか?

感染症ではありませんので、人にうつすことはありません。

汗疱の原因にストレスは関係していますか?

ストレスが直接的な原因になることは考えにくいですが、皮疹や痒みからストレスが増大し掻把(ひっかく行動)を繰り返すことで皮疹が悪化する可能性はあります。

汗疱と手湿疹の違いを教えてください。

汗疱は主に汗腺の機能障害が原因で、手湿疹は外的な刺激やアレルギー反応が主な原因です。また、汗疱は主に水疱を形成し、手湿疹は紅斑や鱗屑が見られます。どちらも症状は 非常に似ており、混在している場合もあります。

汗疱は針で潰してもいいですか?

針でつぶすとそこから細菌感染を起こしますので、やらないようにしましょう。

汗疱ができやすい人はどんな人ですか?

発汗異常が原因の一つとなりますので、湿気の多い環境、通気性の悪い環境、例えば手袋や靴や靴下を長時間着用する環境の人がなりやすいと考えられます。

汗疱を早く治す方法はありますか?

まずは生活環境の改善から始めます。それでも改善が見られない場合は早めに皮膚科に受診して適切な薬を処方してもらいましょう。