脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎（しろうせいひふえん）は、皮脂の分泌が多い部位に炎症が起こる慢性の皮膚疾患です。この疾患は、特に頭皮、顔、胸、背中などに発生しやすく、赤み、かゆみ、フケなどの症状を引き起こします。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の正確な原因は明確にはわかっていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
皮脂の過剰分泌
皮脂腺が過剰に皮脂を分泌することが、炎症を引き起こしやすくします。
マラセチア菌
皮膚の常在菌であるマラセチア属の真菌が、皮脂を栄養源として増殖し、炎症を誘発することがあります。
遺伝的要因
遺伝的な要因も関与していると考えられています。
環境要因
ストレス、寒冷、乾燥、湿度などの環境要因も症状の悪化に寄与することがあります。
脂漏性皮膚炎の症状
（発症しやすい部位）
皮膚が赤くなり（紅斑）、皮膚が乾燥して剥がれ落ちる（鱗屑）症状で、時にかゆみを伴います。特に頭皮で見られるが多く、紅斑や白色の鱗屑で、フケや痒みなどで気づくことがあります。
これらの症状は、頭皮だけではく顔（特に眉間や鼻の周り）、耳の後ろ、胸、背中の中央部分、脇の下、鼠径部（そけいぶ）などの部位によく現れます。
脂漏性皮膚炎の
検査・診断方法
特徴的な皮疹ですので皮膚科医による視診で診断されます。頭皮の症状が強い場合や頭以外の部位にも多発している場合は尋常性乾癬という別の皮膚疾患を疑い、必要に応じて皮膚生検を行うこともあります。
脂漏性皮膚炎の治療法
当院では以下の治療を行っています。
ローションタイプの外用剤
マラセチア菌の増殖を抑えるための抗真菌薬、炎症を抑えるためのステロイド外用薬、そして頭皮の保湿剤などを、あらかじめ混合し、塗りやすいようにローションタイプの薬で処方いたします。頭皮は髪の毛があるため外用薬がぬりにくいエリアですので、1種類の薬で済むように患者様の症状に合わせて調合いたします。
コムクロシャンプー®
（ステロイド含有のシャンプー）
処方するシャンプー薬です。頭皮に塗布した後、15分経ってから優しくぬるま湯をかけて良く泡立て、すすぎ流してください。シャンプー剤ですので洗髪をしながら治療できるというメリットがあります。必要に応じてその後リンスをしてください。
ライフスタイルの改善
ストレス管理、バランスの取れた食事、適度な運動などが症状の緩和に役立ちます。抗真菌成分を含むシャンプー洗浄剤を使用することで症状を予防することができます。
慢性疾患であり、繰り返しやすいのも特徴です。放置してしまうと症状が悪化しますので、症状が再燃したら早めに上記の治療薬を用いて炎症を鎮めることが必要です。
よくある質問Q＆A
脂漏性皮膚炎かどうか確かめる（セルフチェック）方法はありますか？
頭皮の場合、自分で直接皮膚を見ることが難しいため、最初に気づく症状がフケです。症状が進行すると赤みが広がり痒みも出てきます。自然には治癒しない場合がありますので皮膚科で診断してもらうことを勧めます。
脂漏性皮膚炎になった際、食べてはいけないものはありますか？
揚げ物、ファストフード、脂っこい肉などの高脂肪食は皮脂の分泌を増加させ、症状を悪化させることがあります。チーズやバター、クリームなどの高脂肪乳製品も過剰な摂取は控えたほうが良いでしょう。またアルコールも控えたほうが良いでしょう。
脂漏性皮膚炎は市販薬でも治りますか？
ミコナゾールが含有されたシャンプーは一定の効果があるので試してみて良いと考えます。
脂漏性皮膚炎が頭皮にできるのはなぜですか？治し方は？
皮脂の分泌が多い部位にマラセチアが増殖しやすく症状が出やすいと考えられます。そのため、頭皮のみならず顔面の特にTゾーンなどにもよく見られます。炎症を抑えるステロイド剤や、マラセチア菌の増殖を抑制する抗真菌薬が用いられます。
脂漏性皮膚炎とフケの違いを教えてください。
フケとは頭皮の角質が過剰に剥がれ落ちた状態を言います。フケの原因は頭皮の乾燥からくる場合もありますし、脂漏性皮膚炎でも起こる症状ですので、フケの症状が強く繰り返している場合は脂漏性皮膚炎も可能性として考えられます。
脂漏性皮膚炎はうつりますか？匂いはありますか？
脂漏性皮膚炎は人に移すことはありません。頭皮の臭いは皮脂腺の分泌物を常在細菌が食べることにより発生するものなので、脂漏性皮膚炎の有無には関係ありません。
脂漏性皮膚炎になりやすい人は？
脂性肌の人、ストレスを感じやすい人、ホルモンバランスが乱れやすい人、免疫力が低下している人、乾燥した環境で生活している人、遺伝的要因が関与する場合などがあります。
脂漏性皮膚炎は毎日洗って大丈夫ですか？ケア方法を教えてください。
脂漏性皮膚炎は毎日洗っても問題ありませんが、適切なケアが重要です。洗髪の方法は強い洗浄力のあるシャンプーや石鹸は避け、低刺激性のものを使用しましょう。頭皮をゴシゴシこすらず、優しく洗います。爪を立てないように注意しましょう。ケトコナゾールが含まれた薬用シャンプーを使用すると効果的です。