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虫刺され

虫刺されとは

虫刺され昆虫が人の皮膚に刺したり吸血した際に、その虫の毒素や唾液成分が注入されることによって引き起こされる皮膚の炎症です。また、厳密には虫刺されとは異なりますが、虫の一部が皮膚に付着することで引き起こされるアレルギー反応(チャドクガなど)や、皮膚に寄生して増殖するダニ(疥癬)もあり、人の皮膚に害をもたらす虫は様々です。多くの場合、かゆみや腫れ、赤みが生じますが、一部の虫刺されは強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を伴うこともあります。
刺された時にすぐ症状(即時型)が出るとは限らず、数日たってから症状が出現する遅延型の反応もありますので、病歴を聴取して原因を特定する必要があります。
当院では、単に「虫刺され」で済ますことなく、可能な限り虫の種類を特定してその対策をご説明するように心がけております。

応急処置方法

冷やす

刺された部位を冷やすことで、かゆみや腫れを軽減します。氷をタオルに包んで患部に当てると効果的です。

洗う

刺された部分を石鹸と水でよく洗い、清潔に保ちます。これにより、細菌感染のリスクを減らします。

治療方法

ステロイド外用薬

最も有効な治療です。炎症やかゆみが軽減します。

抗ヒスタミン薬の内服

ステロイド外用薬と併用することで更にかゆみや腫れが軽減します。

ステロイド内服薬

局所の炎症が強い場合や、全身のアレルギー反応が疑われる場合はステロイドの内服薬を投与いたします。

抗生物質

腫れが強く、熱を持っている場合は二次的な細菌感染を疑い抗生物質を使用する場合があります。

エピネフリン投与

アナフィラキシー症状(呼吸困難、顔や口唇の腫れ、全身の発疹意識障害など)が出た際は速やかに救急対応が可能な総合病院に受診する必要があります。当院では、ハチ刺されによるアナフィラキシーの既往がある方にエピペンの処方を行っております。

虫の種類と対策、刺された場合について

皮膚を露出している部位に刺されます。蚊の種類は主にヒトスジマカとアカイエカがあります。ヒトスジマカは黒と白の縞模様が特徴的で、屋外に生息し、主に日中に活動します。一方アカイエカは淡い茶色や褐色で、特に目立つ模様はなく、屋内にも生息し夜行性です。いずれの蚊も人工的な水たまりにも産卵をするため注意が必要です。
乳幼児が刺された際は、強い遅延型の反応が多いです。虫よけスプレーを皮膚に塗布することは非常に有効ですが、スプレーし損ねた皮膚に吸血しますので塗り残しがないようにしてください。

ブヨ

黒や灰色の体色をして大きさは数ミリ程度です。主に高原に生息し、昼に吸血をします。夏が多いですが、その他の季節でも刺される事はあります。
刺された部位に出血を伴う事があり、腫れも強くでます。予防するには、皮膚の露出を避けた服装をすることと、蚊と同様に虫よけスプレーが有効です。

チャドクガ

ツバキやサザンカなどに生息するガの幼虫(毛虫)で非常に細かい毛をたくさん持っています。この毛が、風によって散布し、皮膚に付着することで強いアレルギー反応を起こします。ですので、毛虫そのものが皮膚に刺したりしているわけではありません。
皮膚に赤い盛り上がった斑点が多発する事と、服を着ている部位でもすり抜けて出現する事、また遅延型反応(1-2日たってから発症)であることも特徴です。よく、庭の手入れをした翌日などに気づかれることが多いです。
年2回、4~6月と8~9月頃に幼虫(毛虫)が発生しますので、この時期にはツバキやサザンカには近づかない事が予防方法です。駆除しようと近寄ると逆に返り討ちに合いますので注意しましょう。

マダニ

屋外(森林、草地、都市周辺、湿地な)に生息して動物、人などに取り付いて吸血します。マダニは皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血し、大きく膨らんで来ますので、一見ホクロのように見える事もあります。
マダニに噛まれた際は、まずマダニを除去する必要がありますが、無理に引っ張るとマダニの口器が皮膚の中に残り異物性の炎症反応が起こりますので皮膚科を受診して除去する事をお勧めします。マダニが媒介する感染症もあり注意が必要です。
草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。

イエダニ

ネズミに寄生するダニで、体長は0.7mm。就寝中に人に吸血します。衣服に覆われる部位(お腹や背中など)にも刺すのが特徴です。夏に多いです。
ネズミに生息しているため、室内には生息しておらず、天井裏や床下などにあるネズミの巣を駆除することが根本的な対策です(プロの業者に依頼するのが確実です)。ですので、室内で燻煙剤などを焚いてもほとんど意味はありません。
室内への侵入を防ぐために寝室の通風口などに毎日ワンプッシュエアゾール剤を噴霧するのはある程度の予防効果があります。

トコジラミ(南京虫)

カメムシの仲間で、体長は5mmほど。日中は柱の隙間、畳の縁、ベッド木枠に生息し、夜に出てきて人に吸血します。寝ている時、露出している部位から吸血し、刺し口が数か所並んで配列するのが特徴です。宿泊施設に生息している可能性があり、スーツケースを介して旅行先から自宅に持ち込んでしまうことが問題となります。
トコジラミの症状を疑った場合は、屋内に生息している場所を見つける事が必要です。ピレスロイド系の殺虫剤に抵抗性が強くカーバメート系が有効となります。

ネコノミ

野良猫の近くにいます。地面にいる虫で、ピョンピョン飛び跳ねます。そのため、素足でサンダル履きの場合、足やスネを刺されるのが特徴です。また水泡を伴う事が多いのも特徴です。

ハチ

ハチに刺されると、直後よりも翌日以降に強い腫れと痛みが出現しますので刺された際は皮膚科に受診してください。当院ではステロイド剤内服を行い翌日の以降の腫れを軽減させております。
また複数回刺されるとアナフィラキシーを起こす可能性があります。アナフィラキシー症状(呼吸困難、顔や口唇の腫れ、全身の発疹意識障害など)が出た際は速やかに救急対応が可能な総合病院に受診する必要があります。
当院では、ハチ刺されによるアナフィラキシーの既往がある方にエピペンの処方を行っております。

疥癬(ヒゼンダニ)

厳密には虫刺されではなく、皮膚の角質にヒゼンダニが感染して増殖する疾患です。非常に強い痒みを伴います。見た目は湿疹に似ており、見過ごされているケースがあります。
拡大鏡(ダーモスコープ)で手などに疥癬トンネル(ヒゼンダニが移動してトンネルを掘っている)像を確認し、同部位の角質をすくい取り、顕微鏡でダニや卵を確認することで診断いたします。診断にはまず疥癬を疑って診察することが何よりも重要であり、当院院長はたくさんの診断歴と治療経験があります。