花粉皮膚炎(花粉症による肌荒れ)について
春先に目もとなど顔に湿疹を繰り返す場合、それは花粉皮膚炎かもしれません。花粉皮膚炎は、花粉症の一種で、花粉が肌に付着ことで引き起こされる皮膚のかぶれです。
春先から秋にかけて多くの方が花粉症に悩まされる中、目や鼻の症状に加えて肌荒れに悩む方も少なくありません。似ている疾患に、化粧品によるかぶれや、アトピー性皮膚炎がありますので、自己判断せずに皮膚科に受診して診てもらうようにしましょう。
症状
花粉皮膚炎の主な症状には、肌の赤み、かゆみ、などの湿疹症状がでます。悪化すると皮むけ、浸出液が出てジクジクしてくることもあります。これらの症状は、花粉が肌に直接触れることによって引き起こされるため、特に顔、首などの露出した部分に症状が現れやすいです。
原因となる花粉の種類と季節
スギ花粉
飛散時期: 2月から4月
特徴:日本全国で見られる花粉で、多くの花粉症患者が反応する主要なアレルゲンです。
ヒノキ花粉
飛散時期:3月から5月
特徴:スギ花粉の飛散が終わる頃に飛び始めるため、スギ花粉とヒノキ花粉の両方に反応する人も多いです。
ブタクサ花粉
飛散時期:8月から10月
特徴:主に秋に飛散し、都市部でも見られることが多い花粉です。
ヨモギ花粉
飛散時期:8月から10月
特徴:ブタクサ花粉と同じ時期に飛散し、特に河川敷や荒れ地で多く見られます。
イネ科植物の花粉
飛散時期:5月から9月
特徴:牧草地や河川敷で多く見られ、特に梅雨の時期に飛散量が増えます。
花粉皮膚炎に似た疾患
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は通常幼少期に出現する事が多いのですが、一度軽快し後に成人になってから症状が再燃する場合がよくあります。成人のアトピー性皮膚炎は顔や手などに症状を繰り返すことが多いため、花粉皮膚炎の症状と非常に似ています。アトピー性皮膚炎はハウスダストや、ダニ、花粉、カビなど様々なアレルゲンで悪化するため、花粉の時期に皮疹が悪化する事がよくあります。ですので、花粉皮膚炎と軽く考えずに一度皮膚科で診てもらいましょう。
化粧品による接触皮膚炎
化粧品によるかぶれです。目元を中心とした顔や首などに湿疹の症状がみられます。化粧品によるかぶれも、花粉によるかぶれも、見た目の症状はほとんど同じですから区別が困難です。季節や、経過などから疑います。普段お使いの化粧品が原因ですから、その化粧品をやめない限り症状は繰り返します。原因に気づかずに漫然と外用薬で治療を続けている方が多くみられますので、まずは皮膚科で検査を受けましょう。
花粉皮膚炎の予防と対策
- 服装に注意: 長袖のシャツや帽子、マスクなどで肌の露出を減らし、花粉が直接肌に触れるのを防ぎます。
- スキンケア: 保湿効果の高いスキンケア製品を使用し、肌のバリア機能を強化します。また、帰宅後はすぐに顔や手を洗い、肌に付着した花粉を落とすことも大切です。
花粉皮膚炎の治療法
ステロイド外用薬
第一に行う治療です。湿疹部位に直接薬を効かせる事ができるため、最も有効な治療です。炎症やかゆみを抑えることができます。
抗アレルギー薬
内服薬として抗ヒスタミン薬を使用することで、全身的なアレルギー反応を抑えることができます。皮膚炎だけではなく、鼻炎などの花粉アレルギーの症状も抑える事ができます。
保湿
特に乾燥肌の場合は、保湿剤をこまめに使用して肌の乾燥を防ぐことが重要です。
よくある質問(Q&A)
肌がかゆい原因が花粉症だと調べる方法はありますか?
花粉が原因の可能性がある場合は、アレルギー採血を行い、花粉のアレルギーを持っているかを調べることは可能です。ただし、採血結果で花粉のアレルギーがあるだけでは、通常の花粉症(アレルギー性鼻炎)の可能性もありますので、皮膚の症状と部位、そして発症する季節などにより総合的に判断をする必要があります。
花粉皮膚炎は何科を受診するのがいいですか?
皮膚の症状に対して適切な外用薬による治療が必要になりますので皮膚科を受診してください。
花粉皮膚炎に効く市販薬はありますか?市販薬で効きますか?
顔はデリケートな部位になりますので、市販の外用薬で対処することはできません。皮膚科で適切な外用薬を処方してもらう必要があります。
花粉皮膚炎は完治しますか?
花粉によるアレルギー性鼻炎に対しては免疫舌下療法があり、そのアレルギーを低減されることが可能です。ただし花粉皮膚炎に関しては、免疫舌下療法の有効性を示す充分なデータは今のところありません。基本的には花粉の季節になると繰り返す可能性がありますので、外出時は皮膚の露出を少なくする工夫や、帰宅時は早めに洗顔をするなどの予防策を行う事、そして、炎症を抑える外用薬を使用する必要があります。
花粉症による肌荒れはお風呂の後にひどくなりますか?
肌荒れした皮膚を放置してしまうと、痒みが出て、引っ掻いてしまう事により更に症状は悪化します。お風呂の後は体温が上がりやすくなるので、痒みが強くなる可能性がありますので、高めの温度で長時間湯船につかることは控えましょう。また、お風呂で皮膚についた花粉を洗い流すことは重要なことですが、強く擦って洗ってしまうと皮膚の症状を悪化させてしまいますので、やさしく洗うように心がけましょう。
花粉皮膚炎のおすすめスキンケアを教えてください。
外出後の帰宅時は早めに洗顔をして花粉を落とすことが有効です。また、低刺激性のスキンケア製品を使用することが大切です。まず、洗顔料やクレンジングはマイルドなものを選びましょう。炎症を起こしている部位には、処方された外用薬を塗布しましょう。その後、保湿力の高いクリームやローションで肌をしっかりと保湿します。