同じ場所に湿疹を繰り返す症状
湿疹は、一度治ったかに見えても、再発を起こす事があります。特に、同じ場所に湿疹が繰り返しできる場合は、何か原因が潜んでいる場合があります。
症状が長期間続く、広範囲に広がる、または強いかゆみや痛みを伴う場合は、自己判断でのケアではなく、早めに皮膚科を受診しましょう。
湿疹を繰り返す原因疾患
アトピー性皮膚炎
湿疹はアレルギー反応によって引き起こされることが多く、特にアトピー性皮膚炎の方は、同じ部位に湿疹ができやすいです。ハウスダストや花粉、動物の毛、カビなどがアレルゲンとして作用し、皮膚がこれらに反応すると湿疹が現れます。さらに、湿疹ができた部分は皮膚バリアが弱っているため、再度アレルゲンが侵入しやすくなり、再発を繰り返します。青少年期は首やひじ裏、ひざ裏に症状が出やすく、成人になると顔や手に症状が繰り返すため、このような症状があれば診察を受けて外用治療が必要となります。
かぶれ（接触皮膚炎）
普段、何気なく使われているスキンケアの中に、皮膚にアレルギーを引き起こす成分が含まれている可能性があります。美容液、日焼け止め、保湿クリーム、毛染め、外用薬など、これらの中には香料や防腐剤などさまざまな成分が含有されており、反復して使用することで次第にアレルギーを獲得し、遅発的に症状が発症する事があります。使い始めてすぐには症状が出ないため、「今まで使用していて大丈夫だったから問題ない」と判断しがちですが、遅れて症状が出てくるのが特徴ですので気づかずに使用を続けてしまうのは注意が必要です。パッチテスト（パッチテストパネルS）で原因がわかる事がありますので受診していただき、接触皮膚炎を疑った場合は検査を致します。
物理的な刺激
衣服の摩擦や、日常生活での特定の動作（例えば肘や膝がよく当たる場所）によって物理的な刺激が加わることも、同じ場所に湿疹ができやすくなる要因です。また、汗や乾燥による刺激も湿疹を悪化させる可能性があります。これにより、皮膚が再度炎症を起こし、湿疹が繰り返されます。
不適切な外用治療
湿疹は、皮膚の表面だけでなく、皮膚の奥にある炎症細胞が活性化して起こるものです。この炎症細胞が完全に鎮まるまで治療を続けないと、再び炎症が起こり、湿疹が再発してしまいます。例えば、炭に水をかけて火を消す時、少しの水をかけただけでは一時的に火が弱まっても、時間が経つとまた火が大きくなりますよね。同じように、炎症を起こした湿疹も、十分に治療しなければすぐに再発します。ですから、自己判断で治療をやめずに、医師の指示を受けながら、適切な量と期間で治療を続けることが大切です。
よくある質問（Q＆A）
湿疹が長期化するとどうなりますか？
痒みが強く、搔いてしまう事により周囲に拡大する事があります。また、浸出液が出たり、亀裂を伴う事もあります。慢性化した場合は通常の外用療法では完治せずに再発を繰り返しやすくなるため、初期の段階で早めに治癒させることが重要です。
赤い湿疹が出る病気は何ですか？
赤い湿疹ができる疾患は、乾燥性の湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚などが代表ですが、それ以外の疾患も考えられます。また一見、湿疹に似ているけど、実は皮膚の感染症や、皮膚悪性腫瘍などである場合もあり、皮膚の病気は多岐にわたりますので自己診断せずに皮膚科に受診するようにしましょう。
湿疹が出やすい人・子どもの特徴は？
湿疹が出やすい人はアトピー性皮膚炎がベースにある可能性があります。アトピー性皮膚炎は軽症から重症まで症状の幅があります。特に子供のアトピー性皮膚炎はひじ裏、ひざ裏、首などに症状が出やすい特徴がありますので症状が軽くても一度皮膚科で相談すると良いでしょう。
寝不足やストレスで湿疹ができることはありますか？
直接的な原因ではないのですが、これらは症状を悪化させてしまう可能性はありますので、生活習慣に留意する必要があります。
夏に湿疹が出る原因は何ですか？
汗をかくとひじ裏、ひざ裏などに湿疹ができる方がいます。これらはアトピー性皮膚炎に良く見られる症状の一つです。これらの部位は汗がたまりやすいため、長時間汗が停滞する事により皮膚に刺激を与えて湿疹が発症します。対策としては、汗をかいたときはシャワーなどでやさしく洗い流す、もしくは水で湿らせたタオルでやさしくふき取ると良いでしょう。
湿疹は搔かなければ治りますか？
湿疹は掻くことによりその刺激で悪化する事が良く知られています。ですので強く掻かないように意識する事は重要で、痒くなったら冷やす、という方法も良いでしょう。ただし、一度湿疹になってしまった場合、それだけでは治癒しませんので、早期にステロイド外用薬などの抗炎症薬で治療する事が最も重要です。
湿疹は市販薬で治りますか？
軽い症状であれば市販薬で緩和する可能性があります。ただしその場合、どの範囲まで、どの位の期間外用すればよいのか判断が難しいと思います。また、市販薬に含まれる添加物でアレルギーを起こす方も見受けられますので、まずはしっかりと皮膚科で診断を受けて、正しい強さの外用薬を使用されることをお勧めします。
湿疹にステロイドを塗って悪化することはありますか？
通常の湿疹であればステロイド外用薬で良くなるはずです。悪化した場合は、ステロイドの強さや量、外用する期間が適していなかった可能性や、湿疹ではなく別の疾患であった可能性があります。
正しいスキンケアについて教えてください。
乾燥肌のスキンケアは、まず優しい洗浄が大切です。刺激の少ない洗浄剤を使用し、熱いお湯ではなくぬるま湯で洗います。洗顔や入浴後は、肌が乾燥する前に保湿剤をたっぷりと塗ることがポイントです。保湿剤はセラミドやヘパリン類似物質が含まれたものを選ぶと効果的です。また、日中も適度な保湿を心がけ、エアコンや乾燥した環境を避けることも大切です。保湿薬や外用薬を塗布する際は、1FTU（フィンガーチップユニット）で、軟膏を指先から第一関節まで出す量が手のひら2枚分の面積に塗布できる目安ですので、それを参考に外用を行いましょう。