小児皮膚科とは
当院ではお子様の皮膚トラブルに対するお悩みをご相談いただけます。子どもの皮膚は非常に敏感ですので、成長過程においてさまざまな皮膚トラブルが発生することがあります。
特に赤ちゃんは自分自身の症状を言葉で伝える事が出来ないため、正しく診察して速やかに皮膚症状を緩和させる必要があります。
また、小児の皮膚疾患は放置してしまうと、慢性的に繰り返し成人になっても改善しない場合がありますので、早期治療が求められます。
皮膚科と小児科どちらを受診すればいいですか?
子どもの皮膚トラブルが起きた場合、皮膚科と小児科のどちらを受診すれば良いのか迷うことがあると思います。実際は皮膚科でも小児科でも診てもらえる疾患もありますが、以下にその目安をお示しします。
皮膚科を受診すべき症状
皮膚科は、皮膚や爪、髪の毛に関するトラブル全般を専門的に診療していますので、皮膚の症状が主体であれば、小さなお子様であってもまず皮膚科を受診してみましょう。
- アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、乳児脂漏性皮膚炎、などの湿疹
- あせも
- 虫刺され
- 切り傷、やけど
- ニキビ
- 皮膚の感染症(とびひ、ヘルペス、イボ、みずいぼ など)
まずは小児科を受診すべき症状
小児科は、子どもの成長や発達に関連する全身の健康管理を行う診療科です。皮膚の症状と同時に発熱や、倦怠感などが強い場合は最初に小児科を受診されることをお勧めします。
発熱や全身症状を伴う場合
発疹や皮膚トラブルが発熱、倦怠感、食欲不振など全身の症状を伴う場合、全身の感染症やアレルギー反応などが考えられるため、まずは小児科での診断が優先されます。
食物アレルギーが疑われる場合
全身的なアレルギー管理が必要になるため、まずは小児科で評価を受けることが推奨されます。
小児科を受診した結果、皮膚トラブルが慢性的であったり、より専門的な治療が必要と判断された場合、皮膚科への紹介を受けることがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、慢性的な皮膚疾患であり、特に子どもに多く見られます。皮膚が乾燥し、かゆみや赤み、炎症が伴うことが特徴です。アトピー性皮膚炎は乾燥肌がベースにあることが多く、そこにアレルギー体質があると症状を発症します。
家族にアレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎がある場合に発症しやすいです。乳児湿疹と診断されている方の中で、湿疹を繰り返している場合はアトピー性皮膚炎である可能性があります。しっかりと診断して、正しい治療をする必要があります。
アトピー性皮膚炎は見た目の「赤み」だけではなく「つらい痒み」、そしてその痒みから、不眠や、学業への影響などが出る疾患でもあります。当院では「赤み」だけを評価することなく、その「つらい痒み」にも着目して患者さんのお悩みを改善させたいと考えております。通常は炎症を抑える外用薬を、充分な量、必要な部位にしっかりと外用する事で治療をしていきます。
症状が強く、通常の外用薬だけでは改善が見られない場合は、最近では新しい治療薬も登場しておりますので是非ご相談ください。
乳児湿疹
赤ちゃんの皮膚にかゆみ、赤み、乾燥が見られる状態です。湿疹は通常、顔や頭皮、体幹に発生し、症状が強くなると浸出液や、かさぶたやひび割れが伴うことがあります。
主な原因としては、乾燥した空気やアレルギー反応が挙げられます。また、遺伝的な要因や環境要因も関与しているとされています。乳児湿疹と診断されていても、実はアトピー性皮膚炎であることが多く、当院では皮膚の症状や分布からアトピー性皮膚炎の有無についても判断致します。
診療と治療
当クリニックでは、乳児湿疹の管理には保湿も重要であると考えています。皮膚が乾燥しないように、適切な保湿剤を使用し、皮膚のバリア機能をサポートします。ただし、炎症がある部位にいくら保湿をしても症状は静まりませんので、必要な部位にはステロイド外用薬をはじめとする抗炎症薬を使用致します。
新生児ざ瘡
新生児ざ瘡(新生児ニキビ)は、生後数週間内に顔に現れる、ニキビのような赤い発疹や膿疱が特徴です。これは主にホルモンの影響によって皮脂腺が刺激されることが原因で発生します。多くの場合、新生児ざ瘡は生後3か月頃になると自然に改善し、特別な治療が不要です。
診療と治療
当クリニックでは、新生児ざ瘡に対して過度な治療は行わず、軽度の洗浄や適切なスキンケアの指導を行います。
乳児脂漏性皮膚炎
乳児脂漏性皮膚炎は、赤ちゃんの頭皮や顔に黄色い鱗屑が見られる皮膚の炎症状態です。皮脂の過剰分泌が原因で、時にはかゆみや赤みが伴うこともあります。通常は自然に改善しますが、場合によっては症状が悪化することがあります。
診療と治療
乳児脂漏性皮膚炎の治療には、適切なシャンプーやクリームの使用が効果的です。軽度の場合は、毎日のシャンプーと皮膚の保護剤を使用することで症状の改善が見込まれます。症状が強い場合には、抗真菌剤やステロイド外用薬の使用を考慮します。
皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏症は、皮脂分泌が不足することで皮膚が乾燥し、ひび割れやかゆみが生じる状態です。日本人の約10人に1人はフィラグリンという皮膚の保湿に関与している重要なタンパク質が低下していることが知れていています。乾燥した皮膚は外部の刺激に対して敏感になるため、皮膚の保湿が必要です。
また、皮脂欠乏症がベースにあると、アトピー性皮膚炎を発症する可能性があるため、早期からの保湿ケアが必要と考えています。
診療と治療
適切な保湿剤を使用し、皮膚のバリア機能を維持します。また、入浴時に強い洗浄剤や擦り洗いをしない、などの生活習慣の見直しや環境改善のアドバイスも行います。
おむつかぶれ
おむつかぶれは、おむつと皮膚の接触部位に、湿気、擦れ、尿や便の刺激が原因で皮膚が赤くなり、かゆみや痛みを伴う状態です。
診療と治療
おむつかぶれの予防には、こまめなおむつ交換と乾燥した状態を保つことが重要です。おむつは通気性の良い製品、おしりふきは水だけが含まれた製品を選びましょう。便で皮膚が汚れた時はシャワーで優しく洗い流すのは有効です。また、普段から皮膚の保護剤を塗布することも有効です。症状がひどい場合には、ステロイド外用薬などの抗炎症薬を処方します。
また、一見おむつかぶれと思う症状でも、カンジダという真菌(カビ)が繁殖して症状を引き起こしている場合もありますので、受診されて治療を受けるようにしましょう。
あせも
あせもは、高温多湿の環境下で汗腺が詰まり、皮膚に点状の小さな発疹がパラパラと現れる状態です。特に暑い季節や、通気性の悪い衣服を着ている時に見られます。発疹はかゆみを伴います。
診療と治療
あせもを予防するためには、涼しく快適な環境を保つことが重要です。通気性の良い衣服を着用し、汗をこまめに拭き取ることで症状を軽減できます。痒みが強い場合は、ステロイド外用薬で炎症を鎮めていきます。
とびひ
とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌感染によって皮膚が炎症を起こし、症状が広がっていきます。かさぶたを伴う赤い発疹や、水疱が形成され、少しジクジクとした症状で痒みも伴います。黄色ブドウ球菌や連鎖球菌という菌が原因となります。鼻腔内に菌が多く生息しており、鼻の近くから症状が始まり、それを引っ掻くことで症状が広がる事も多いです。
乾燥肌やアトピー体質などの肌のバリア機能が低下している子供に発症しやすいです。感染は非常に伝染しやすく、他の部位や他の人に広がる可能性があります。
診療と治療
治療には、抗菌薬の使用が必要です。症状が限局している場合は外用抗菌薬で治療が可能ですが、全身に散布している場合は内服抗菌薬を処方致します。感染の拡大を防ぐために、外用した部位はガーゼなどで覆ってください。また、タオルや衣類を共有しないようにしましょう。皮膚の清潔を保ち、適切な治療を行うことで早期の回復が可能です。