粉瘤とは
皮膚の下にできる袋状の出来物で背中や耳などにできる事が多いです。膨らんで気づいたり、臭いで気づいたり、また炎症を起こして痛くなって気づくことがあります。皮膚の毛穴の構造物が袋状に広がることで発症する良性の出来物で、よく見ると、出来物の真ん中におへそのようなくぼみがみられることがあり、ここが袋の出口の部分です。
よく「脂肪の塊ができた」と表現される方が多いのですが、実際は「皮膚の垢」が溜まった状態です。放置しても特に問題はありませんが、炎症を起こした場合は治療が必要です。また、臭いが気になる方は切除を行います。
粉瘤の原因
粉瘤の正確な原因は不明ですが、膨らんで初めて気づくものですので、実はどなたでも数個は持っているとも言われています。皮膚に小さな傷や毛穴の損傷があると、そこから粉瘤が発生することもあります。糖尿病など、皮膚の免疫力が低下している場合は炎症を起こしやすいです。
不潔にしていたからですか?とよく質問を受けますが、それは関係がございませんので心配いりません。
放置すると?
良性の腫瘍ですので緊急性はありませんが、放置すると年余にかけて徐々に増大してくる場合もあります。炎症を起こして痛みを伴う事があります。
粉瘤の治療
膨らんでいるだけであれば、良性のものなので経過観察でも問題はありません。
ただ、炎症を起こしている時は一時的に切開し排膿を行ったり、抗生剤の投与が必要です。根治的な治療は切除になりますが、炎症を起こしている時期は内部の袋が破裂していて完全に取り除くのが困難ですので、炎症が落ち着いて袋がしぼんだ状態で行うほうが確実で切除する範囲も小さくて済みます。
手術の方法
「通常切除」と「くりぬき法」があります。「くりぬき法」は切開部を極力小さくすることで傷跡をできるだけ目立たせないというメリットがあります。しかし、小さく切ることにより手術中の視野は狭くなり、すでに瘢痕となってしまっている粉瘤やいびつな形をしている粉瘤の場合、袋を取り切れずに再発し、再度手術が必要となるリスクがあります。
当院では一度の手術で根治することを目指しておりますので「通常切除」をお勧めしています。粉瘤の大きさや、過去に炎症を起こしているかを判断する事により、必要最小限の切開の長さを目指して手術しております。
患部に局所麻酔の注射を打ち、その後切開、摘出し、糸で縫合いたします。術後1週間は患部に強い負荷がかからないように注意をしてください。当日は濡らすことができませんが、翌日からシャワー浴が可能です。患部は医療用のテープを貼り保護をします。約10日後に抜糸をします。
粉瘤の手術費用
粉瘤の摘出手術は通常、保険適用で行われます。健康保険の3割負担の場合、自己負担額は1万円台になることが多いです。ただし、部位や大きさ、保険の自己負担割合により支払い額は変わります。
内容 | 費用(3割負担) |
---|---|
直径が3cm未満の場合(露出部以外) | 4,200~5,000円 |
直径が3~6cmの場合(露出部以外) | 10,000~11,000円 |
直径が6cm以上の場合(露出部以外) | 13,000~14,100円 |
直径が2cm未満の場合(露出部) | 5,000~6,000円 |
直径が2~4cm未満の場合(露出部) | 11,000~12,000円 |
直径が4cm以上の場合(露出部) | 13,000~14,100円 |
脂肪腫とは
皮膚の下にできる柔らかい出来物です。脂肪細胞が腫瘍化することにより発症しますが、ほとんどの場合は良性のものです。放置すると年余にかけてゆっくりと大きくなっていきます。
脂肪腫の原因
単発のものは原因不明です。ただ、腕や下肢などに多発するのは遺伝的な要因が知られています。
脂肪腫の診断方法
視診や触診によって診断されることが多いです。必要に応じて、超音波検査やMRIなどの画像診断が行われることもあります 。
放置すると?
良性の腫瘍ですので緊急性はありませんが、放置すると年余にかけて徐々に増大していきますので、小さいうちに手術で取り除くのが良いでしょう。
脂肪腫の治療
針で刺して吸えないのですか?とよく質問を受けますが、通常の注射針の穴から吸えるのは主に血液や体液ですので、脂肪腫の細胞は大きいため、針で吸い出す事は不可能です。ですので治療は手術療法のみとなります。
患部に局所麻酔の注射を打ち、その後切開、摘出し、糸で縫合いたします。術後1週間は患部に強い負荷がかからないように注意をしてください。当日は濡らすことができませんが、翌日からシャワー浴が可能です。患部は医療用のテープを貼り保護をします。約10日後に抜糸をします。
ニワトリの卵の大きさ位までであれば当院での切除は可能です。それ以上大きいものや、筋肉の中にまで広がっているケースは総合病院での切除を勧めております。
脂肪腫の手術費用
脂肪腫の摘出手術は通常、保険適用で行われます。健康保険の3割負担の場合、自己負担額は1万円台になることが多いです。ただし、部位や大きさ、深さ、保険の自己負担割合により支払い額は変わります。
内容 | 費用(3割負担) |
---|---|
直径が3cm未満の場合(露出部以外) | 4,200~5,000円 |
直径が3~6cmの場合(露出部以外) | 10,000~11,000円 |
直径が6cm以上の場合(露出部以外) | 13,000~14,100円 |
直径が2cm未満の場合(露出部) | 5,000~6,000円 |
直径が2~4cm未満の場合(露出部) | 11,000~12,000円 |
直径が4cm以上の場合(露出部) | 13,000~14,100円 |
よくある質問Q&A
粉瘤や脂肪腫は何科に行けばいいですか?
皮膚科や形成外科で手術が出来ますが、手術を行っていない皮膚科もありますので事前に確認してから通院してください。
粉瘤の痛みが強いですが、治療すれば当日に痛みは治まりますか?
粉瘤は炎症を伴うと痛みを伴います。特に、膿が溜まっていると強い痛みを伴いますので、炎症を早期に抑える目的で切開、排膿を行う場合もあります。治療する事により日に日に痛みが軽減しますが、当日中に痛みが消える事はなく、鎮痛薬を処方して対応致します。
粉瘤や脂肪腫は自分で潰して(針で刺す)治せますか?
粉瘤や脂肪腫は細胞の塊からなる腫瘍です。膿は押し出すことができても腫瘍そのものは皮膚の中に残ります。そのため、粉瘤や脂肪腫は手術により切開、摘出をしない限り取り除くことは出来ません。
粉瘤や脂肪腫ができやすい人は?またできやすい場所は?
粉瘤は背中や耳、陰部などに出現する事が多いです。粉瘤や脂肪腫は皮膚であればどこにでも生じえます。糖尿病などの疾患がある方は、粉瘤が炎症を起こしやすいです
粉瘤や脂肪腫が悪性のできものとの見分け方はありますか?
粉瘤は丸く、よく見ると出口のくぼみが見えるのが特徴です。また、脂肪腫は通常触ると柔らかいです。ただし、皮膚の腫瘍は様々なものがあり、ご自身での判断は出来ないケースが多いですから、一度皮膚科で診てもらうようにしましょう。
脂肪腫が急に大きくなるのはどうしてですか?
脂肪腫が急に大きくなることはありません。もし、急速に大きくなる出来物があるならば、それは違う腫瘍の可能性がありますので、皮膚科で診てもらうようにしましょう。
粉瘤や脂肪腫の手術は痛いですか?
局所麻酔をしてから行いますので、手術中の痛みはほとんどありません。手術中に少し痛みを感じた場合は麻酔を追加しますのでご安心ください。しいて言えば、局所麻酔を打つときに麻酔の痛みが少々ある程度です。
粉瘤や脂肪腫の手術後はどのくらいで治りますか?
縫合した傷は通常1週間から10日で閉鎖し治癒しますので、そのタイミングで抜糸を行います。傷跡の硬さや赤みは半年から1年で柔らかくなり薄くなっていきますが、線の傷跡は軽度残ります。