円形脱毛症とは
円形脱毛症は、突然頭皮やその他の体毛が円形に抜け落ちる自己免疫疾患です。
免疫システムが誤って毛根を攻撃することで発症し、髪の毛が抜け落ちます。頭皮だけでなく、顔(眉毛やまつげ)に現れることもあります。
発症年齢の平均は25~35歳とされていますが、あらゆる年齢や性別の人に発症する可能性があります。症状の重さは軽度から重度まで様々で、治療法も症状に応じて異なります。
円形脱毛症の症状
円形脱毛症には、以下のような特徴的な症状が見られます。
- 頭皮や顔などの体毛が円形に抜け落ちる
- まれに全身の体毛が抜ける場合もある
- 脱毛部位の肌は滑らかで、炎症やかゆみがないことが多い
一部の患者さんでは、症状が自然に回復することがありますが、多くの場合、適切な治療を行うことで再発を予防し、回復を促進することが可能です。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の原因は完全には解明されていませんが、自己免疫反応が主要な要因と考えられています。免疫システムが誤って自分の毛根を攻撃し、脱毛が引き起こされるのです。また、ストレス、遺伝的要因、アトピー性皮膚炎などが発症の引き金となることもあります。
当院で行っている治療選択肢
外用治療
最初に試みられる治療法は、ステロイド外用薬を使用して炎症を抑えることです。カルプロニウム塩化物水和物は、頭皮の血行を促進し、毛髪の再生をサポートします。また、ミノキシジル外用剤も有効とされていますが、こちらは保険適用外の治療となります。
エキシマ紫外線治療(保険適用)
エキシマ紫外線治療は、308nmの紫外線を局所的に照射し、異常な免疫反応を抑えて毛根の回復を促す治療法です。軽度から中等度の円形脱毛症に対して有効で、定期的な照射が必要です。1か所への照射は5秒程度で、痛みはほとんどなく、暖かさを感じる程度です。まれに照射後に赤みが出ることがありますが、数日で改善します。
ケナコルト局注療法(保険適応)
円形脱毛の部位に、細い針を用いてステロイド剤の注入を行う治療です。
オルミエント(バリシチニブ) (保険適用)
オルミエントは、JAK阻害剤の一種で、免疫システムの過剰反応を抑え、毛髪の再生を促す経口薬です。広範囲の脱毛が見られる患者さんに有効で、15歳以上の患者さんに使用されます。治療前に感染症や血球減少のリスクを確認するための検査を行い、治療中も定期的なモニタリングが必要です。
リットフーロ(リトレシチニブ)(保険適用)
リットフーロは、最新のJAK3およびTECファミリーキナーゼ阻害剤で、異常なサイトカインによる毛根への攻撃を抑えることで、脱毛の進行を防ぎます。この薬は、広範囲に脱毛が進行する難治性の円形脱毛症に対して特に効果的で、12歳以上の患者さんに使用されます。感染症や血球減少などのリスクに注意が必要であり、治療前後の定期的な検査が推奨されます。
よくある質問(Q&A)
円形脱毛症の前兆はありますか?
脱毛が起こる前に、頭皮にかゆみやピリピリとした違和感を感じる場合があります。
円形脱毛症は自然に治りますか?
円形脱毛症は自然に治ることがあります。ただし、治癒までの期間や回復状況は個人差が大きく、自然治癒しない場合や再発する場合もあるため、まずは皮膚科で診断を受けるようにしましょう。
円形脱毛症の原因にシャンプーが関係ありますか?
円形脱毛症は主に自己免疫の異常によって引き起こされる疾患です。シャンプーそのものが円形脱毛症の原因になることはありません。
円形脱毛症の原因に食べ物は関係ありますか?
円形脱毛症の直接的な原因として食べ物が関与することは確認されていません。
円形脱毛症は病院に行くべきですか?
円形脱毛症が疑われる場合は、皮膚科での診察を受けることをおすすめします。円形脱毛症は軽症で自然に回復するケースもありますが、適切な診断と早期治療が再発防止や進行の抑制につながります。
円形脱毛症を放置するとどうなりますか?
円形脱毛症を放置しても自然に治ることがありますが、症状が進行したり、再発する可能性もあります。円形脱毛症は自己免疫によるもので、脱毛が進行すると、脱毛範囲が拡大したり、頭皮以外の体毛にも影響を及ぼすケース(全身脱毛症)に進展する場合もあります。 また、長期間の放置によって心理的な負担が大きくなることもあります。
円形脱毛症は完治しますか?
円形脱毛症は完治する可能性があります。特に軽症の場合や初期の段階では、治療によって髪が元通り生えることが多いです。ただし、脱毛が広範囲になると難治となる症例もあります。
円形脱毛症は何科を受診すればいいですか(男性・女性)?
円形脱毛症の場合、男女問わず、皮膚科を受診するのが一般的です。まずは脱毛の状態を診断し、進行度合いに応じた治療を行っていきます。